アルコールチェック義務化をわかりやすく解説|対象事業所・基準値・記録保存のポイント
目次
アルコールチェック義務化とは?道路交通法施行規則改正のポイント
アルコールチェック義務化の対象となるのは、安全運転管理者の選任義務がある事業所です。道路交通法第74条の3に基づき、一定台数以上の自動車を使用する事業所は、安全運転管理者を選任し、運転者に対するアルコールチェックを実施しなければなりません。具体的には以下のいずれかの条件を満たす事業所が対象となります。
- 2022年4月1日
運転前後に、目視などで酒気帯びの有無を確認し、その結果を記録・保存することが義務化 - 2023年12月1日
アルコール検知器を使用した確認と、検知器を常に正常に使える状態で保持することが義務化
この制度は、安全運転管理者の選任義務がある事業所に対して、飲酒運転防止の管理体制を強化することを目的としています。
アルコールチェック義務化の対象となる事業所の基準
アルコールチェック義務化の対象となるのは、安全運転管理者の選任義務がある事業所です。道路交通法第74条の3では、一定台数以上の自動車を業務で使用する事業所に対し、安全運転管理者の選任を義務付けています。対象となる事業所は、次のいずれかに該当する場合です。
- 乗車定員11名以上の自動車を1台以上使用している事業所
例:スクールバスや送迎バスを保有する幼稚園、保育園、介護施設など - その他の自動車を5台以上使用している事業所
社用車だけでなく、会社が業務に使用する車両は台数に含まれます。なお、従業員のマイカーは原則として台数に含まれませんが、会社が業務用車両として契約している場合は対象となることがあります。
なお、大型自動二輪車・普通自動二輪車は1台を0.5台として計算します。
例えば、普通自動車4台と大型二輪車2台を使用している場合、
4台 +(2台 × 0.5)= 合計5台となり、対象事業所に該当します。
これらの基準を満たす事業所は、安全運転管理者を選任し、選任から15日以内に管轄警察署を経由して公安委員会へ届出を行う必要があります。
届出を怠った場合は、届出義務違反として5万円以下の罰金の対象となります。
安全運転管理者を選任しなかった場合は、選任義務違反として50万円以下の罰金が科されます。なお、この罰則は2022年10月1日の道路交通法改正により、5万円以下から50万円以下へ引き上げられました。
また、公安委員会から安全運転管理者の業務に関する是正措置命令が出された場合に、それに従わないときも、50万円以下の罰金が科されます。
そのため、対象となる事業所では、安全運転管理者を選任し、運転者へのアルコールチェックを適切に実施する管理体制の整備が求められます。
アルコール検知基準値とは? 検査で引っかかる数値を解説
飲酒運転には「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」があり、基準や判断方法が異なります。
ここでは、アルコール検知器で測定される数値の基準と、それぞれの違反内容を整理します。
酒気帯び運転と酒酔い運転の基準値の違い
飲酒運転のうち、アルコール濃度の数値で判断されるのが酒気帯び運転です。
一方、数値に関係なく運転能力の状態で判断されるのが酒酔い運転です。
酒気帯び運転(数値で判断)の基準値と行政処分
呼気中アルコール濃度が 0.15mg/L以上 の場合、酒気帯び運転と判断されます。
0.15mg/L以上0.25mg/L未満は違反点数13点・免許停止90日、0.25mg/L以上は違反点数25点・免許取り消しと2年間の欠格期間(前歴およびその他の累積点数がない場合)です。アルコール検知器はこの呼気中アルコール濃度(mg/L)を測定して判断します。
酒酔い運転(状態で判断)の基準と行政処分
酒酔い運転は、数値の基準ではなく運転状態で判断されます。例えば次のような状態が確認された場合です。
- まっすぐ歩けない
- 受け答えができない
- 正常な運転操作ができない
この場合、アルコール濃度の数値に関係なく酒酔い運転と判断されます。 違反点数35点・免許取り消しと欠格期間3年(前歴およびその他の累積点数がない場合)となります。
アルコールチェックで重要になる考え方
企業のアルコールチェックは、運転者に酒気帯びがないことを確認するための仕組みです。道路交通法施行令では0.15mg/L以上が酒気帯び運転の行政処分の対象とされていますが、この数値を下回ってさえいれば安全というわけではありません。アルコールの残り方は下記などによって大きく異なり、数値に表れにくい影響が残っている場合もあります。
- 体格
- 性別
- 飲酒量
- 飲酒後の経過時間
「数値が出なかったら問題ない」と判断するのではなく、アルコール検知器による確認と目視等を組み合わせた、制度に基づく適切な運用が重要です。
アルコールチェックの実施方法と記録保存の義務
前章で説明したように、飲酒運転は厳しい行政処分が定められており、企業には運転者の酒気帯びを防ぐための管理が求められています。そのため、安全運転管理者の選任義務がある事業所では、運転前後にアルコールチェックを実施し、その結果を記録することが義務付けられています。ここでは、アルコールチェックの具体的な実施方法を整理します。
アルコール検知器を用いたチェックの基本手順
安全運転管理者は、運転者が業務で車両を使用する前後に、酒気帯びの有無を確認しなければなりません。道路交通法施行規則第9条の10では、次の方法で確認することが求められています。
- 目視等による確認:
運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子などから酒気帯びの有無を確認します。 - アルコール検知器による測定:
運転者が検知器に息を吹きかけることで、呼気中のアルコールの有無または濃度を確認します。 - 結果の記録:
確認者名、運転者名、運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号又は識別できる記号・番号等、確認の日時、確認の方法(対面でない場合は具体的方法等)、酒気帯びの有無、指示事項、その他必要な事項を記録します。
これらの記録は、アルコールチェックを適切に実施していることを証明する重要な資料になります。
直行直帰やテレワーク時など対面でのチェックが困難な場合は、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させるなどをした上で、カメラやモニターによる運転者の顔色、応答の声の調子等の確認、または電話による応答の声の調子等の確認をすることで対面による確認と同視できる方法が認められています。ただし、アルコール検知器による測定結果を確実に確認できる方法でなければなりません。
アルコール検知器は、呼気中のアルコールを検知し、その有無または濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を持つ機器である必要があります。企業はアルコール検知器を常時有効に保持し、適切に管理する義務があります。
アルコールチェック記録の保存期間と管理方法
アルコールチェックは実施するだけでなく、確認結果を記録として残すことが法律で義務付けられています。さらに、その記録は一定期間保存しなければなりません。ここでは、アルコールチェック記録の保存期間と管理方法について整理します。
アルコールチェックの記録は最低1年間保存することが義務です。
記録管理のポイント
アルコールチェックの記録は、紙でも電子でも保存できますが、近年はクラウドなどのデジタル管理を導入する企業も増えていると言われています。デジタル化することで、次のようなメリットがあります。
- 記録の改ざん防止
- 保存漏れの防止
- 必要な記録をすぐに確認できる
- 監査や行政確認時に迅速に提出できる
車両台数や運転者が多い企業では、記録を確実に管理する仕組みを整えることが重要になります。
記録管理を怠った場合のリスク
アルコールチェックの実施や記録が適切に行われていない場合、是正措置命令の対象と判断される可能性があります。その命令に従わない場合、50万円以下の罰金が科されることがあります。そのため、アルコールチェックは「実施する」「記録する」「保存する」という一連の管理を確実に行うことが求められています。
まとめ
アルコールチェック義務化は、安全運転管理者の選任義務がある事業所に対して、運転者の酒気帯び運転を防止するための管理体制を求める制度です。企業には、アルコールチェックの実施だけでなく、結果の記録と保存まで含めた運用が求められています。
制度対応の基本ポイントは次のとおりです。
- 安全運転管理者を選任する
- 運転前後にアルコールチェックを実施する
- 目視等の確認とアルコール検知器による測定を行う
- チェック結果を記録する
- 記録を最低1年間保存する
- アルコール検知器を常に正常に使用できる状態で管理する
これらを適切に運用することで、法令遵守だけでなく、飲酒運転事故の防止や企業リスクの低減にもつながります。
まずは、現在のアルコールチェックの運用が「実施・記録・保存」の3点を満たしているか確認してみてください。
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白ナンバー事業者のアルコールチェック義務化は、道路交通法施行規則の改正により、安全運転管理者の選任義務がある事業所に対して運転者のアルコールチェックを義務付けた制度です。2022年4月から段階的に制度が施行され、現在はアルコール検知器による確認と記録保存が求められています。しかし、「自社がアルコールチェック義務化の対象企業なのか」「アルコールチェックはどのように実施すればよいのか」「記録はどれくらいの期間保存する必要があるのか」といった疑問を持つ企業担当者も多いのではないのでしょうか。
本記事では、アルコールチェック義務化の制度背景から、対象となる事業所の基準、飲酒運転の基準値、具体的なチェック方法や記録保存のルールまで、企業が押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。